条約の目的と概要

「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)は、グローバリゼーションの進展や社会の変容などに伴い、無形文化遺産に衰退や消滅などの脅威がもたらされるとの認識から、無形文化遺産の保護を目的として、2003年のユネスコ総会において採択された。
この条約によって、世界遺産条約が対象としてきた有形の文化遺産に加え、無形文化遺産についても国際的保護を推進する枠組みが整った。条約の策定段階から積極的に関わってきた日本は、2004年にこの条約を締結した。

この条約においては、口承による伝統及び表現、芸能、社会的慣習、儀式及び祭礼行事、自然及び万物に関する知識及び慣習、伝統工芸技術といった無形文化遺産について、締約国が自国内で目録を作成し、保護措置をとること、また、国際的な保護として「人類の無形文化遺産代表的な一覧表」や「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表」の作成、国際的な援助などが定められている。

この条約の履行については、全締約国から成る締約国会議の下に、締約国の中から選挙で選出される政府間委員会が設置されており、履行のための運用指示書の作成や「人類の無形文化遺産代表的な一覧表」等の作成など、重要な役割を担っている。
日本は、条約が発効した2006年から2008年、及び2010年から2014年まで政府間委員会委員国を務め、2018年にも委員国に選出された(任期:2022年まで)他、代表一覧表等の審査にも積極的に関わっている。

(リンク:文化庁HP)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/mukei_bunka_isan/

(リンク:国立文化財機構 アジア太平洋無形文化遺産研究センター(IRCI)ウェブサイト)
https://www.irci.jp/jp/