ユネスコ未来共創プラットフォーム・石川

①構想段階

・立ち上げに関わった本事業運営協議会委員・平本氏(金沢工業大学SDGs推進センター長)の見込み:石川県を中心に北陸地方でユネスコ活動関係として既に取り組まれてきていることをうまく生かせれば、意義深いプラットフォームができるのではないか

②白山市の取り組みを核に

・プラットフォームの構築、推進には具体的な対象必要ということで、まずは「白山ユネスコエコパーク」と、2020年10月に国からユネスコ世界ジオパークに推薦された「白山手取川ジオパーク」の事務局を務めている白山市の取り組みを核にする考えで検討。
・白山市としても、地域の多様な主体との協働で、それまで市が事務局として取り組んできたことをさらに進めたいとの思い。
・ゆくゆくは、エコパークに関わる白山市以外との自治体や、金沢工業大学として付き合いのある「隠岐ユネスコジオパーク」などとの、市域・県域を超えた地域間連携の可能性も。

③地元企業等の地域の様々な主体への働きかけと縦割りの克服への思い

・地元に、少なからずジオパークやエコパークに関わりたいとの思いを持っていたが、具体的に関わるきっかけがないと考えていた企業等が存在。
→コーディネーション側から、「会社の強みを活かせるように考えたい(あなたの会社のこういう強みを生かせるのではないか)」という形で働きかけ
・大学として県内等の小中高における教育活動に関わっていたが、それらが大人・社会の側の課題解決活動と繋がっていなかったため、学校教育活動と地域での企業等の取り組みを繋げたいという思い。

④若者中心の取り組み推進

・キックオフイベントやその後の取り組みの企画実施については、学生が主体となって検討、実施。
→各参画主体には、「若者中心の取り組み推進を応援してほしい」という形での働きかけ:(a)地域の次世代を担う若者に活動の機会を提供したいという思い、(b)大人同士だけで向かい合うと思惑や利害の対立に陥る可能性などもあり、「皆で若者の取り組みを応援する」という考え方で相談。
→各参画主体に、若者の取り組みを応援するという形での関わりを働きかけ、「自分が」「自分の」ではなく、皆で若者を盛り立てようという方向で、縦割りではない雰囲気を醸成
・企業等各主体においても、(i)ユネスコという新しい切り口での取り組みへの期待感、(ii)コロナ禍の中での「繋がりたい」という思いや、(iii)コロナの中で温めていた考えを具体化したいという期待感、自分たちがアウトプットできる場への熱望など。
・大学生も自分たちが主体的に考えて活動できる機会を求めていた。これまでも若者が社会的な活動に「参加」する機会はあったが、大人が決めた方針の中で意見を聞かれるということが多く、若者が主体的に考えて動かしていける、ということとの差は大きい。実際にこの取り組みでは、学生同士で話し合い、どんどん企業の人々に提案したりして取り組みを進めていっている

⑤キックオフイベント(詳細は別記事参照)

・金沢工業大学、白山市、他自治体関係者、地元企業関係者、地元メディア等が参加
・企画運営は大学生中心
・関係自治体や団体の長が出席し挨拶をするような儀式的なものにせず、各主体の担当レベルの人々が参加し、発言
キックオフイベントの詳細

⑥取り組みの推進

・大学生が主体的に企画、推進。
・令和4年春季から、他地域のユネスコ活動やSDGsに関わる若者をゲストとして招くイベントシリーズを計画中。
・静岡会議に関わる学生との連携も始まっており、それらの若者との協働も計画。

⑦ポイント

・ゼロからではなく、既存の関係性を生かそうとしたこと:地域の既存の活動とは別に新しいネットワークを構築することは困難。地域に今ある人的・物的資源が何かということをよく見つめて、生かしていくことが大事
・国のユネスコ活動に対する多様な主体の協働の推進という考え方の下で、これまでユネスコ活動に関わってきた人以外も取り組みに参画しやすい雰囲気を醸成できたこと。
・地域でのネットワークの拡大、地域間連携の可能性が見込まれたこと。
・特定の主体が他の主体に「あれをしてほしい」ではなく、「みんながしたいことをみんなで協力しあってやっていきましょう」という「持ち寄りの協働」を理解して関わってもら得るかどうかが大事。そのためにも、「新しいことをやりましょう」ではなく、「あなたのやりたいことは何ですか?それを一緒に考えましょう」「既にやっていることの延長線上で考えましょう」。
・(本当はあるが)困りごとの自覚がない、具体的にやりたいことがはっきりしていない主体がある場合には、例えば一緒に「街歩き」するなど気軽に一緒にできる現状認識から始めたり、活動とは関係ない話(雑談)から始める→とにかくお互いをわかり合う対話を始めることが大事
・多様な主体によるフラットなネットワークが理想だが、他方中心、コアになって動く人も必要。それは一人である必要はなく、必要な要素・機能を複数の人で分担するのことがむしろ理想(一人に寄りかからない、負担を押し付けない)。例えば、ユネスコ活動に詳しい人(団体)、SDGsに詳しい人(団体)、地元企業との幅広いネットワークがある人(団体)、学校とのネットワークがある人(団体)など。
・若者が中心に取り組みを進める場合でも、若者のやりたいことを説明して協力してほしいという姿勢ではなく、むしろ若者が地域の社会人の話を聞いて、関係性を作っていくことが大事。若者の側も、自分たちの思いを実現するためには地域の人々との協働が必要で、そのためにもまずは地域の人々の話を聞くことが大事であることの理解が必要。

ユネスコ未来協働プラットフォーム・静岡会議

①構想段階

・立ち上げに関わった運営協議会委員西原氏(前・静岡県牧之原市長)の取り組みを始める前の印象:ユネスコは遠い世界の存在、ユネスコ活動団体は文化活動をしている団体、ユネスコスクールも具体的な取り組み内容はよくわからない。
・まず関係者間で何が求められているのか、の理解が必要と考えた。

②関係者との対話

・当初関係者は、プラットフォームに参画すると、国の事業で何か「させられる」のではないかと誤解。
→西原氏は牧之原市での市民協働の経験から、(上から目線で)何かを押し付けるのではなく、聞き合いと学び合い、質問し合い気づきを得ること、「他者にやってもらう」のではなく「やる気になってもらう」ことを念頭に様々な主体に働きかけ。
→市役所が目指すところは何かを理解する:南アルプスエコパークの一部である市内井川地区の活性化の取り組みを、様々な人々に関わってもらって充実させたい。教育委員会もユネスコ 活動やESDの活性化の観点で参画意向。
・地元プロスポーツチームやメディア企業がスポーツや食と健康の観点で、地元大学がサステナビリティや防災の観点で、環境団体などが関心を持つ。
→関係者に、自分たちの取り組みを、ユネスコや文部科学省が注目してくれるかもしれない!という期待感あり。
・地域課題は当事者が取り組むことも大事という観点で、地元関係者のヒアリングなども実施

③会議の発足(詳細は別記事後を参照)

※上記のように、いきなり会議・イベントではなく、個別の主体との対話を積み重ねた。
・静岡大学の学生が企画、実施。
・本事業の説明もしつつ、まずはそれぞれの思いや問題意識を共有。
・ゆくゆくは各参画主体それぞれの課題を話し合い考え合うというという方針を持ちつつ、まず最初の課題として、南アルプスユネスコエコパークの井川地区をテーマとすることで取り組み開始。
会議発足の詳細

④取り組みの推進

・令和3年度の本事業全国セミナー(2021.12.4開催)で発表する機会をもち、若者経営者と大学生の2人から事例紹介。
・その後、構成員である静岡青年会議所がJ Cが事務局薬を積極的に務め、若い人々を中心に頻繁に様々な打ち合わせを実施。
・令和4年4月中旬にセミナー、4月下旬に井川地区の現地視察と交流のための合宿を実施し、7月には日本青年会議所の全国セミナー(サマーカンファレンス)での発表を目指して準備。

⑤ポイント

・常に主語は「私」であること。当事者として、例えば国から補助金がもらえるからやるではなく、自分たちの地域をどうにかする(結果的にユネスコ活動の活性化にも繋がる)という意識が必要。
・コロナ禍ではオンラインミーティングを多用せざるを得ないが、状況を見つつ、オフラインミーティングも大事にすることも大事。
・ヒエラルキー的な組織にしないことも心がけ、事務的機能を持ち回りで進めるなど。
・現場レベル同士の対話は大事だが、関わる各主体の組織のトップの理解も必要。ことあるごとに理解を求める努力を続ける。
・インフラとしての「対話できる場(機会)」が大事で、そこで安全・安心な雰囲気や、決まったことを実施に移す力や裏付けも重要。
・とにかく社会変革のために、関係者が「自分ごと」として取り組めるかどうかが問題。それぞれがやっていることや思っていることの実現を協働できるか否かが問われる。

総合的なポイント

・経費がかかる場合を考えることも大事。特定の誰かに期待するのではなく、皆で持ちよることを考える(行政が出す場合もあるだろうし、集める場合もあるし、企業が出す場合もある)。
・SDGやユネスコの理念を共通言語として生かす際に、例えばSDGsのターゲットのレベルの細かいところで現状を把握し、何はできていてできていないのか、何ができるのかを考えることが大事。とにかく具体的に課題を見つめていくこと。例えば、「環境教育」ではなく、気候危機に関する教育を考えるなど。その場合でも上からテーマを下すのではなく、関係者の対話の中からテーマが湧き上がってくることが重要。
・最初に動いた人間のサーバントリーダーシップと権限移譲が大事(特定の人がずっと中心を抱え込まない)。「私はこう思う」ではなく、「みんなはどう思っているのか」との問いかけが重要。またリーダー的存在の責任感も大事だが、関わる人皆の覚悟も必要。
・地域の各分野で顔の広い人(信用・信頼)、各主体にざっくばらんに話ができる人の力を上手く生かせると、関係者が安心・安全感を感じて参画してくれると思われる。
・コアになる人々が「本気」でなければ思いが伝わっていかない。誰も本気になっていないネットワークはありえない。これまでユネスコ 活動に関わってこられた人々の本気をどう見せるか。
・社会課題に対する「怒り、不条理、問題意識」をちゃんと示すこと。綺麗事ではなく、本気で怒ると本気の仲間が見つかる。他方それだけでなく、「情熱と冷静」、「運動と事業」の双方が大事。
・取り組みの核として中間支援組織なものができて、そこが動くことで、取り組みが広がっていくという形も期待したい。プロセスは広く呼びかける(プロセスの透明性と参画の自由度が重要)が、コアになる主体は特定の主体に担ってもらうなど。但しそれを周囲がどう支えて存続させていくのかも大事。まずは必要な中間支援の機能を明らかにする必要がある。

ユネスコ未来共創プラットフォーム・岐阜

①構想段階

岐阜青年会議所OBによって結成された「岐阜経済人協議会」は、岐阜の地域を中心に活動を展開している。
ユネスコ未来共創プラットフォーム事業とも連携を行い、岐阜県内でネットワークづくりを実施した。
活動の目的は「社会課題解決人材の育成」としているが、主としているユース世代の学生をターゲットにESD教育を実施。岐阜と地元の企業を地元の学生を掛け合わせる仕掛けを展開。
次世代×SDGs(社会課題)×産学官連携
柳津小学校で、昨年3月に感染症対策を含む次世代教育「避難できる庭」プロジェクトを実施をした経緯がある。
企画は岐阜市教育委員会×柳津小学校×三承工業×岐阜経済人協議会で行い、地域の子供たちへのESD教育として実践した経緯がある。小学校4年生が社会の授業で「自然災害からくらしをまもる」を授業に結び付けて「避難できる庭プロジェクト」を生徒から様々なアイデアを出し合いながら実施を行った。子供たちのアイデアも盛り込みながら、プロジェクトを推進した。そして、この取り組みが評価され、第7回レジリエンスアワード受賞することにつながった。
本案件は、様々な方の協力の下で事業が実施された。同様の取り組みを展開していくためにユネスコ未来共創プラットフォームと共に活動を展開することで、より大きな波及効果を得られるのではないかと感じた。

②関係者との対話

青年会議所時代のネットワークや、代表理事・副代表理事が地域に根差した商売をしていたため、本事業に対しての呼びかけを積極的に何度もお願いをしてまわった。
・岐阜県ユネスコ協会とは、現状の課題の共有を実施。会員の減少や高齢化活動資金に問題があるものの次世代の子供たちにESD教育を実施していくことに賛同を得られた。ただ、当初は門戸が固く複数回(都度6回 書かなくていいかも)ほど訪問し、熱意を伝播し信頼をしてもらえた。
・岐阜市役所とは、企画部、経済部共に趣旨には賛同をしてもらい協力をいただけることとなった。岐阜市教育委員会は、やりたいことわかるが、連携に対して事務局機能がどこになるかが興味を持たれた。事務局に対しては、岐阜経済人協議会が担うことを説明し、賛同を得られる。
・岐阜大学は、新設された学部 経営学部のゼミ生が地元企業と連携できることに期待を持たれた。具体的には、柴田準教授のゼミと、企業学生との交流事業を通じて、本事業との連携を深めESD教育を深めていく。令和4年度に授業として行っていく(成果)。また、松田副学長が文部科学省から出向をされており、本事業に賛同をしてもらえた。

③会議の発足(詳細は別記事後を参照)

7月18日各地に出向き事業説明 (事前5回)→決まった後(3回まわる)
岐阜県ユネスコ協会、岐阜市役所、岐阜教育委員会、岐阜大学、ESD教育の参加してくれる地元の企業を中心に説明にまわる。
9月29日第1回のオンラインミーティングを実施した。
教育委員会 岐阜大学 ユネスコ協会 ユネスコ協会青年部 三承工業(神田)テーマとして企業とESD教育を推進するにあたり、課題と期待を議論した。
教育委員会 学校の現場から 「総合学習の時間はあるが、企業、大学、NPOに対してどんな取り組みをしているかもわからいので、このような連携の取り組みがなされることに期待を抱いている。教育委員会としても推進に対して協力をしたい。」

④取り組みの推進

各所をまわり、ESD教育が各所で推進されていない現状を把握し、岐阜経済人協会が事務局として役割を果たし、地域の企業や関係者を巻き込みながら推進を展開していくが必要だと感じる。
事業に対しては、賛同をしてくれる団体や企業が多いが中心としてやってくれる部署がないと事業の推進は難しいと感じた。

《具体的な事業》
岐阜市教育委員会からも評価をされ、総合的な学習の時間に地元企業と連携を行いながら事業を展開をしていく予定。
「地元企業とSDGsを考える」令和4年度から、岐阜市内の小中学校に出前事業を実施する企画を実施していくで、企業や小中学校に呼びかけをしている。(長良西小学校から問い合わせあり、7月に「エネルギーとSDGs」を実施予定)