先日、(と言ってももう二か月以上も前になりますが…。)ユネスコ未来共創ダイアログの第二回が開催されました。第二回のテーマは「平和」。登壇者は

内田一士様  〈ユネスコ協会平和・世界遺産部会長〉
黒崎伸子様 〈医師/国境なき医師団日本・元会長/長崎SDGsクラブ副代表〉
小巻亜矢様 〈サンリオエンターテイメント代表取締役/(一社)SDGsプラットフォーム代表理事〉
西野月様 〈杉並ユネスコ協会青年部/立教大学1年〉
平山英恵様 〈長崎純心大学2年/Green Pieces(交流会やパンフレット制作など様々なアプローチで長崎と平和を伝える活動をしている学生団体)メンバー〉

の六名でした。第一回に引き続き今回の会議でも世代を超えた対話が展開されていて、とても濃密な内容の90分間になっていました。

さて、今回のダイアログでは、自己紹介の後に5つの質問を通して対話を進めていく、という形で進みました。そして、その5つの質問というのは

①活動を通して得たことは?

②「平和」のイメージ・定義とは?

③どう自分事化・行動していけばいいのか?

④興味・関心がない人が興味・関心を持つための条件・きっかけは?

⑤いかにコミュニケーションを越境していくのか。いかに共に生きてゆくか?

この5つでした。どれも平和を考えるにあたり、重要となってくる視点だな、と感じます。この後ではこの質問に沿って、第2回ダイアログの感想を書いていこうと思います。

活動を通して得たことは?

まず一つ目の質問です。「活動を通して得たことは?」この質問について、

・沢山のことをわかりやすく伝えたり、こちらのアクションに引き込むことの難しさを感じた。わかりやすく伝えたいが、どうすればいいのか。

・人によって平和に対する態度に温度差がある。わかってくれない人もいる。

・コロナ禍でオンライン上での活動になり、活動が大変。だが、平和について考え直すきっかけになった。また、強い思いを持っていれば仲間たちが協力してくれる。成功体験を得られた。

・活動を通して色んな「出会い」があり、より身近に感じるようになった。さらに別の出会いを作りたい、と思うようになった。

・お互いに「ハロー!」と言い合える関係性が大切。デザイン的にも素晴らしく、「平和」という概念を内包しているキャラクターは、平和を広げることができる。

このような意見がありました。まず「平和」というテーマで活動するだけでも、これだけ多様な経験ができる、という事に驚きです。

「平和」というテーマで活動することで成功体験や色んな出会いを得られた、という発言には、励まされました。「平和」というテーマで活動するというだけでも心が温まるのに、加えて成功体験や出会いが得られるというのは希望のある話だと思います。しかし、「平和」というテーマに対し消極的な人もいる事や、実際に活動に巻き込むことや、平和に関する膨大な情報を伝える事の難しさがあるという話を聞くと、そう簡単な話でもない、と感じました。しかし、難しいからこそ挑戦のし甲斐もあるのかな、と思いました。

「平和」のイメージ・定義とは?

次の質問です。「平和」のイメージ・定義とは? この質問については

・今日生きていられて、明日があって、人権が守られていて、将来なりたいものがあること

・生まれてきてよかったと思える事

・想像力を持てる事

・苦痛や悲しみを忘れることなく、平穏に暮らしていける事

・やりたいことができない事

このような意見がありました。私の場合、「平和」と聞くと「戦争が起こっていない状態のこと」なのかな、と考えますが、実際にこのような意見を聞くと必ずしもそうではないんだな、と感じます。

日本では「平和学習」として第二次世界大戦について学び、戦争の恐ろしさを学んで反戦意識を持てるような形になっています。なので、「平和」と聞くと反戦につなげてしまいがちですが、平和と関連するものはそれ以外にもたくさんあるのだろうな、と思いました。対話の中で、「やりたいことができない」という意見について、「やりたいことを我慢することで解決する問題もある」という反論もありました。今回の会議が対話型のものだからこそできる議論だな、と思うと同時に一つの物事に対していくつもの解釈があることも感じました。一つの物事からいくつもの考え方をできるようになったら生活が豊かになりそうだ、とも思いました。

どう自分事化・行動していけばいいのか

三つ目の質問は「どう自分事化・行動していけばいいのか」です。

・自分から知ろうとしない、知る機会がない、偏見がある、といった原因で自分事化するのが難しくなることがあるので、それらを取り除く必要がある。

・他人のことを知る事から始める

・自分の考えが甘かったことを自覚する

このような意見がありました。なるほど、と思いました。なぜなら、私にも当てはまる部分があると感じたからです。私自身は平和に関わる活動について、頭ではもっと積極的に取り組んでいくべきだろうと理解しています。が、実際に行動化にはつながっていません。その原因の一つに自分から知ろうとしない事や、知る機会を見つけに行かない事が挙げられるのではないかと感じたからです。また、自分の興味のある分野については、すでに自分から積極的に活動に参加していることも、このように感じた理由の一つです。

自分の考え方が甘かった、というのも印象的な意見だと感じました。私自身はユネスコにも関係する活動を積極的に行っているのですが、一緒に活動する仲間を見つけるのにとても苦労しています。じぶんは興味があっても、周りの人はそうではない事、そんな周囲の人に興味を持ってもらうのは至難の業であることも今実感しています。

 

興味・関心がない人が興味・関心を持つための条件・きっかけは?

四つ目の質問は「興味・関心がない人が興味・関心を持つための条件・きっかけは?」です。

・一緒に歌を歌ったり、平和の話をする前にグルメなど誰でも興味があるような話題を先に持ってきて話に入りやすくする。

・キャンプなどの楽しい体験から徐々に興味を持っていき、経験を重ねることでさらに興味がわく

・普段食べているおやつを抜いてみるといった食べ物がない状況の辛さを疑似体験することなどを通して紛争地の子どもたちがどう感じているのかなどを知るといった、現地の状況を知ることが重要

・多様な話題から、平和について語る事や自分を大切にすること。

このような意見がありました。

私は体験を通して知識や経験を得たり、話を聞くことで思いをはせることが大切だ、という意見が多いな、と感じました。ありきたりな方法であると思いますが、やはり有効な手段だと思います。学校でも平和学習を行うときは校外学習という形でフィールドワークをしたり、戦争体験者を学校に呼んで話をしていただくといった活動が行われています。おやつを抜くことで食糧不足の辛さを疑似体験するというのは独創的ないいアイデアだな、と思いました。実際おなかがすいている感覚を味わうことで紛争地の子どもたちに思いをはせるという体験は子どもたちにとって貴重な経験になりそうだな、と感じました。

いかにコミュニケーションを越境していくのか。いかに共に生きてゆくか?

最後の質問です。「いかにコミュニケーションを越境していくのか。いかに共に生きてゆくか?」

・一つの大きなイメージを共有することで、一緒に同じ方向に向かって活動していける。他者を理解することは国際理解につながる

・対話を通して相手を理解し受け入れる。

・知ることで矛盾やジレンマを味わい、その経験が矛盾を乗り越えるヒントになる。対話をする際は、感情のやり取りが大事

・自分を知り、他者を知る。興味を持ってやっていく。いろんな人の支えと小さなきっかけがある社会にしていく

・自分自身が信念を持って行動していく。考えている事をいかに続けていくかを意識する。色んな立場の人が意見を出し考えることが大事。

このような意見がありました。それぞれ多様な意見を持っているな、と感じました。が、相手を理解する事や、誰かと一緒に活動する事といった視点は全員が持っている視点だと感じました。この、誰かと一緒に活動をするという視点が「平和」を理解する時の、もっと言えば社会課題を解決していく時のキーワードになってくるのかもしれない、とも思いました。ここで敢えて「平和」の枠を超えて社会問題、としたのは、5つ目の質問が「いかにコミュニケーションを越境していくのか。いかに共に生きてゆくか?」という内容だったからです。この質問は「平和」に関する内容だけに関わらず、あらゆる物事に関わってくると思います。だからこそ、あらゆる「社会課題」に関わってくるのではないのか、と考えました。

 

平和活動と私たち 

今回、「平和」をテーマにしたダイアログに視聴者として参加したことで、登壇者の方々の意見を聞き、自分なりに平和について考えることができました。その中で平和活動をすることは現在起こっている紛争問題の解決や平和を重んじる社会を作っていくことにつながるだけでなく、かけがえのない経験も得られるんだな、と思いました。

今回のダイアログの登壇者のうち、3名が学生だったのですが、みんなはっきりと意見を述べていたのが印象的でした。また、平和活動を通した経験から色んなことを学び自分自身というものを持っているように見えました。

活動を通して成長するというのは平和活動に限った話ではないかもしれませんが、平和を社会に広めていくことができるのは平和活動ならではだと思います。ほんの少しだけでもいいから、平和についての活動を始めてみようかな、と思いました。

 

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