ユネスコの価値と本事業の位置付けを再認識しましょう

ユネスコは

・2つの世界大戦の反省から、「相互理解(逆は「疑惑と不信」)」のための、加盟国間の教育・科学・文化等の協力と交流により「国際平和と人類の福祉」を促進する国際機関
・その理念は、「ユネスコ憲章」の「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」が象徴

我が国のユネスコ活動は、我が国がユネスコに加盟する前に、仙台でユネスコ協会の前身が世界で初めて設立されて始まった

・ユネスコは政府が活動するだけでなく、「国際平和」という理念を掲げた、諸国民にとっての「精神的基盤」でもある

平成29年11月の日本ユネスコ国内委員会建議で

・ユネスコに登録された国内の豊かな地域資源や長年継続してきた各地のユネスコ活動を地方創生などに活用したり国内の多文化共生などにに生かしていく必要性
・近年、国内のユネスコ活動の担い手の高齢化や活動の縮小傾向があることと、他方多くのユースや企業等がSDGsへ貢献すべく積極的に活動しており、これら多様な主体とも連携を深めてユネスコ活動の輪を広げるべきこと

が指摘され、様々なユネスコ活動団体同士、それらとSDGsに取り組むユースや企業など多様な主体との協働を促進するためのプラットフォームの設立が提言され、「ユネスコ未来共創プラットフォーム事業」が開始された

ユネスコを生かそうという関係者の思い

ユネスコの理念をもっと生かしましょう!

・「人間の尊厳・平等・相互の尊重(その逆が無知・偏見・不平等)」というユネスコの原理は、SDGs等の社会課題解決にとっても重要
・「平和」は多義的なため、具体的に考え合っていくことが必要
・ユネスコの理念は「精神的な基盤」。コロナ禍の中で分断されがちな人々の意識や精神をつなぐ大事な役割を果たしうる

ユネスコ活動の特徴をもっと生かしたい!

・地域に根差し、人々の身近なところで活動があるため、参加が容易という特長がある
・「教育」は全ての社会課題に関連しており、社会課題解決や価値の創造において「学び合うこと」や「人材育成」が必要不可欠
・「教育・科学・文化」は前向きな分野。社会課題解決だけではなく「新たな価値の創造(共創)」にも生かせる
・「国際性」と「重層性(国際機関-政府-地域の活動)」地域の人々と課題解決活動を、全国や海外にも広げられる。逆に「地域性・地元性」で国際的な課題を地域の課題に結びつけられる
・ユネスコには様々な地域資源が登録されており、「地域の魅力」を生かした学習や課題解決を通じて、地域の魅力の再発見や多様な主体との連携、他の地域とのへの交流発信に活用できる

多様な主体の協働において大事なこと

・目の前の課題だけでなく「目指す社会の実現」のための「同時解決や総合的取り組み」の観点から、自団体の取り組みとパートナーについて考える必要
・お互いに余裕がないからこそ、「持ち寄る協働」が大事
・企業にとって「わかりやすい・関わりやすい」ユネスコとは?を皆で考えよう
・協働のためにはまず対話。聴く姿勢、話しやすい場が必要。そして「皆でやろう!」という「共感」へ
・地域を超えた協働も重要
・何でもかんでも「協働」ではない。協働は目的でなく手段。必要な時だけでよい

協働のコツ

・「星見の協働」:いきなり互いに向かい合うのではなく、星のような遠くにある同じものを見ると軋轢が起きにくい
・「歩み寄り、持ち寄る協働」
・SDGsを共通言語として使う
・相手を属性で判断するのではなく、行動で判断する
・「和」や「謙虚さ」「お互いのため」「社会のため」という価値観も大事
・寛容の精神と議論を尽くすこと、長期的に考えること。タイミングも大事
・意見の否定は人格の否定ではない。「怒ったら負け」
・クールに考える。「良い悪い」だけで考えない
・助けを求め、受け入れられることも大事
・「教える」のではなく、「喜び」を分かち合おう
・学び考えるだけでなく、行動も大事
・相手を立てて「主人公」になってもらうことも大事
・「知って欲しい!」だけでなく、「知るきっかけづくり」を考えよう
・共通の具体的な目標が必要。例えばSDGs等で示されている社会課題を自分たちに合わせてボトムアップで考え直すなど。「自分たちには何ができるのか」と考えてみる
・良いことをしていると思っても、協力を得るためには「他者の目に映る自分」を見直す
・企業と協働するためには、企業の思いを理解することも大事
・実は「教育や文化に関係ない企業などない」。ユネスコ活動は企業活動と協働する可能性を十分に持っている
例)日本人従業員と外国籍従業員との相互理解と組織としての生産性の向上

地域でのプラットフォームづくりのプロセスから得られた気づき

・地域で主体的にコーディネートしてくれる人(団体)がいないとネットワークは動いていかない
・抽象論ではなかなか人は動かず、具体的な目標や活動が必要
・協働は時間がかかる。お互いの思いを丁寧に聞き、共通点を見つけよう毛用とすることが必要
・協働には不安感がつきもの。それを払拭する必要がある。

「ユース」の思い

・「活動を楽しんでいる大人」と出会って「ワクワク」したい
・「自分たちの活動を応援してほしい」
・「目標に向かって一緒に学びあい、活動したい」
・「上下ではなく、立場が異なる存在として対等に活動したい」
・「いろんな世代の人と話をしたい」、「話をしたら聞いてほしい」、「話を受け入れてもらって一緒に活動したい」
・「世のため人のため」だけではなかなか動けない。「自分の力を発揮したい」「あのような大人になりたい」
・自己実現」への欲求から、「今の自分にできることは何だろう?」へ(社会や活動へと繋がる)
・「ここは自分がいて良い場所なのかな?」が気になる
・「初期の成功体験があると続けられる」

ユースと協働しようとするなら、このようなことが大事

・まず大人が「どれだけ社会課題解決について考えているか」「生涯学び続けているか」を示す
・キャリア教育として、「社会課題について自分だったらこうできるかもしれない」、「あのような団体や企業で自分の力を生かして課題に取り組めるかもしれない」と考える機会を提供する
・大人が考えていることを「噛み砕いて」説明する
・「ユース」と言っても一様ではない「人それぞれ」を理解する
・「べき」論は押し付け、やらされ感に繋がる。一緒に明るい未来を見て欲しい
・寄り添う気持ちが大事
・色々な角度からのアプローチを試すこと
・楽しいことから入ってもらい徐々に関心を持ってもらう。例えば、平和について一緒に考えたい場合、平和を大事にする地域の観光や郷土料理から。国際理解・多様性・共生についてなら、まずは外国人とのキャンプなど
・若い人々へのアプローチについて、内容が素晴らしくても、ユースが好むスタイルで発信しないと伝わりにくい。真面目すぎず、カジュアルな感じが必要。

その他

・文化もSDGs等の社会課題解決に貢献しうる。文化は世界で最も「均等な資源」。誰の近くにもある
・身近な文化の「なぜ」や身近で当たり前すぎて気づかない「良さ」を考えること
・学校と地域との協働について色々と課題もあるが、E S Dの考え方やコミュニティ・スクールなどの仕組みを活用することで持続可能になりうる
・平和は多義的、人により状況により異なる。お互いに想像し合い理解し合う事が必要
・例えばコロナ禍の不自由を切り口に、少しでも紛争地などのを想像してみる
ことが大事
・厳しい現実を知り、葛藤やジレンマを感じることが世の中の矛盾を乗り越えるヒントになる
・地域資源の活用について、危機意識を煽ると苦しくなる→「好きなこと」「楽しいこと」「ワクワクすること」で、自分と地域との接点を見出す
・修学旅行などの学校行事やスポーツイベントでまず来てもらう。継続的に関わりのためには「人と人との関係を作る」
・訪問者に単に見てもらうのではなく、問いを投げかけ地域について能動的に考えてもらったり、多様な「楽しみ方」をプロデュース・提案する
・「とにかく来て欲しい」ではなく、どんな未来を望んでいるのか考えてみることが必要。そこから取るべき行動が見える