ユネスコ未来共創プラットフォーム事務局では、2024年11月25日(月)~2024年12月1日(日)にかけて「第3回ユネスコウィーク(UNESCO WEEK 2024/25)」を開催中です!29日(金)は「国際シンポジウム」、30日(土)は「第16回ユネスコスクール全国大会」、1日(日)は「ユースフォーラム」を開催します。

このたび、「第3回ユネスコウィーク」の一環として、ユネスコ研修生 大原瑞萌(おおはらみずも)さんにインタビューをしました。

大原さんは、文部科学省とユネスコが創設した「ユネスコ研修プログラム」*の研修生に選出**され、現在、ユネスコ本部(フランス パリ)で経験を積まれています。


Q:大原さん、本日はインタビューの機会をくださりありがとうございます。はじめに簡単に自己紹介をお願いいたします。また、ユネスコでの研修プログラムに参加されることになった経緯と、現在の業務についてお話いただけますか。

「ユネスコ研修プログラム」でユネスコ本部教育局ESD課に派遣され、Sponsored Trainee***として2024年7月から2025年6月までの1年間、研修を受けています。今年度、次世代ユネスコ国内委員会委員にも任命していただき、ユネスコウィークの最終日に開催されるユースフォーラムの準備にも取り組んでいます。このフォーラムでは、これから活動を始めようと思っている人が第一歩を踏み出すきっかけとなり、すでに活動を行っている人がさらに意欲を高められるような場を目指して準備を進めています。当日もオンラインで参加する予定です。

日本では、岡山大学大学院社会文化科学研究科博士課程に在学しており、持続可能な社会の実現における文化の役割について、国際法の視点から主にユネスコおよびユネスコが採択した法規範に焦点を当てた研究を行っています。研究対象としてユネスコを扱っていることもあり、実際にユネスコでの業務に携わってみたいという思いから、この研修プログラムに応募しました。配属先のESD課を希望した理由は、もともと持続可能でインクルーシブな社会の実現に興味を持っていたことに加え、岡山でESD (Education for Sustainable Development)に関する取り組みが活発に行われているためです。

研修プログラムでは、「ESD for 2030」ロードマップ****に沿って進められているプロジェクトに主に携わっています。具体的には、ウェビナーの準備・実施、各国のESD for 2030のビジョンを実現するための具体的な行動や戦略策定のサポート、地域事務所とのやり取りなど、様々な業務に関わらせていただいています。他にも、他部署のイベントの手伝いなどもしています。

Q:研修プログラムの中で、課題や困難を感じることはありますか。またやりがいを感じることはありますか。エピソードがあれば教えてください。

研修プログラムを通じて、毎日新しい発見や学びがあり、成長の実感を得ることができる環境で働けることに非常にやりがいを感じています。最初は何もできなかった自分が、少しずつ「できた」が増え、自信を持てるようになってきたことが何よりの励みです。

研修プログラム初期は、ほとんどの業務が初めての経験で、うまくいかないことばかりでした。例えば、あるプロジェクトで提出する資料の作成を担当した際、思った通りに進まず、何度も修正が必要でした。その度に、上司や同僚に助けてもらいながらも、最初は「迷惑をかけている」と感じることが多かったです。その中で、自分の課題を上司に相談し、フィードバックを受けることで少しずつ成長を実感できるようになりました。

また、文化やコミュニケーションの違いも最初は難しく感じました。自分の意見を控えめにしてしまうことが多く、意図せずに、相手に積極的に関与できない場面がありました。しかし、こちらの文化では、雑談や立ち話が相手への興味関心を示す大切な手段だと理解するようになり、徐々にその習慣を身につけることで、以前よりスムーズにチーム内でコミュニケーションを取れるようになってきたと感じています。

Q:研修プログラムでのご経験を今後、どのように活かしていきたいとお考えでしょうか。

研修中の経験は、自分の人生そのものを豊かにしていると感じます。仕事への向き合い方や考え方、効率的な進め方、異文化間でのコミュニケーション、キャリアデザインの視点、そして母国語以外で仕事を進める経験など、すべてが自分にとっての財産となる貴重な学びとなっています。

特に、上司のお手本となる理想的なコミュニケーションの取り方は、私にとって非常に学びの多いものでした。例えば、言葉の選び方やお願いの仕方、話し方といった具体的なスキルは、今後どのような場面でも活かせると感じています。特に、柔らかくお願いを伝える方法や感謝をこまめに表す姿勢など、心を動かすコミュニケーションの重要性を実感し、今後の活動や仕事の場面で実践していくつもりです。

Q:ユネスコなどの国際機関での研修プログラムへの参加やインターン等を検討している学生のみなさんに向けて、なにか日頃から準備したほうが良いこと等、アドバイスはありますか。

ユネスコウィークなど、ユネスコで働いている方や働いていた方と出会える場所に足を運び、ユネスコや国際機関での実際の仕事や働き方について直接伺ったり、インターン等への熱意を伝えたりすることは実行する価値があると思います。お話を通して、今の自分に必要なことがより明確になったり、自分の興味関心に合った人や場所を教えてもらえたりするかもしれません。

他にもよく言われていることですが、語学の勉強は絶対に裏切らないと思います。英語はもちろんのこと、ユネスコは部署によってフランス語が主に使われているところもあると聞いたので、フランス語やスペイン語など、複数の言語を使えるようになっていて損はありません。特に、国連の公用語を学ぶことは役に立つと認識しています。

Q:最後の質問です。第3回ユネスコウィークのキーワードは「持続可能で包摂的な未来の創造」です。大原さんが思い描く「持続可能で包摂的な未来の創造」とはどのような未来でしょうか。読者のみなさんに向けてメッセージをお願いします。

「持続可能で包摂的な未来の創造」の個人的に重要な要素の一つに、異なる価値観や背景を尊重し、互いに支え合うことが思い浮かびます。そのためにできることの一つとして「意識的に多数のコミュニティに関わり続けること」があると思っています。趣味、ボランティア、スポーツ、学校、地域、職場、家族、友達など、様々あるコミュニティのうち、一つだけに所属しないことで、自分の視野が狭まってしまうことを防いだり、違う価値観と触れ合う機会を維持したりすることに役立つと考えています。ひとつのコミュニティで困難があった際の「逃げ場」を確保できる点も大きな利点ではないでしょうか。

もちろん、「もったいない精神」や「食べ物を大切にする」といった環境への配慮や人にやさしくするといった道徳的な振る舞いなど、よく言われていることも意識しながら、自分の中の多様性を高め、維持していくことを心がけています。

*ユネスコ研修プログラムはこちら

** 詳細はこちら(岡山大学ホームページ)

*** Sponsored Traineeship Programme(UNESCOホームページ)

**** Education for sustainable development: a roadmap(UNESCOホームページ)


「第3回ユネスコウィーク」各イベントの詳細や参加申し込みは特設サイトをご覧ください!
https://unesco-sdgs.mext.go.jp/unesco-week-03

DATA
インタビュー 2024年11月実施

 

 

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