全国各地に存在するユネスコ協会。しかし、ユネスコと聞いてもピンとこない、何をやっているかわからない、そんな方もいるのではないでしょうか?
「ユネスコ?世界文化遺産の?」
それだけではありません。普段はなかなか知ることのできないユネスコ協会の実態、これを機に、新たな一面をぜひ覗いてみてください。ユネスコの新たな一面との出会いがありますように。
さて今回は、特色ある全国のユネスコ協会の中から、杉並ユネスコ協会の青年理事である佐藤航さんに、青年部の普段の活動や、杉並ユネスコ協会の素敵なイベント等について聞いてみました。
※青年部とは、高校生~35歳未満の年代を指します。
Q: 杉並ユネスコ協会では、普段どのような活動をされているのですか?
佐藤さん:青年部が主に関わっている活動として、中学生クラブというものがあります。基本的に杉並ユネスコ協会と杉並区と共催で毎月1回おこなっています。基本的には、区内在住の中学生に向けた英会話授業、国際理解を目的としてネイティブスピーカーに自国の文化や問題についてお話しいただくといったコンテンツを設けています。クリスマスには、外国人と中学生がゲームやレクリエーションを用いて交流することもあります。
大規模なイベントとして、8月に外国人の方と中学生が参加する2泊3日のキャンプが挙げられます。宗教や文化の違いを肌で感じられるようなプログラムを用意しており、より身近な感覚で国際理解に努めることができる活動です。
また、青年部向けのプログラムとして、スタディーツアーも行っています。コロナ前は韓国の歴史や広島の原爆、戦争のことを学びに行っていました。実際に、国際平和について考えるきっかけとなり、青年部での活動だけでなく各々の将来についても大きな刺激となる活動だと感じています。
Q:国際色豊かの活動をされているんですね。こういった活動は長くやっているのですか?
佐藤さん: 中学生クラブは1994年から、27年間続続いています。
Q:そんなに長く続いているのはすごいですね。杉並ユネスコ協会は区との連携も行っているとのことでしたが、あまり他の協会では見られない特徴ではないでしょうか?
佐藤さん:区との共催は、杉並ならではの特徴であり、強みだと感じています。杉並区との共催だからこそ実現できるコンテンツもかなりありますので、その点は他のユネスコ協会さんよりも恵まれていると言っても過言ではないかもしれません。
Q:自治体や他の団体と連携しているからこそ実現できる活動とは、具体的にどのようなものがありますか?
佐藤さん:例えば、広島でのスタディーツアーが挙げられます。こ
広島の原爆については、学校でも授業で取り扱われると思います。しかし、スタディーツアーには外国人の子ども達も参加するため、実施する意義は非常に大きいです。
高校生や大学生の年代の外国の子が、自国で学んだことをストレートに質問したり、毎晩その日学んだことをディスカッションしたり、アウトプットしたりする場面が多く見受けられるのが特徴の一つとなっています。その子ども達の意見を聞くことで、現地に行って学ぶというだけではなく、「他国から見た広島」についても知ることができる。かつ、そういったものが刺激になって広島に行く子ども達も学ぶ意欲に繋がる、スタディーツアーはそんな場になっています。
Q:ただの交流で終わらせるだけではなく、自分の国の歴史を様々な角度から見直してみるというのもすごく大事な活動ですね。そんな杉並ユネスコさんは、今後の展望や他のユネスコ協会と協働共同してやってみたいことなどはありますか?
佐藤さん:現在までは、特に大きな問題が生じることなく、活動を存続させることができています。しかし、コロナ禍で中学生クラブの実施が厳しくなっているため、今後、人手不足になる可能性が懸念されています。新たな募集方法を考えていく必要があるように思います。
他の団体とやっていきたいこととしては、ユースの活動で交換留学のようなものを考えています。他の協会の活動に参加、逆に、参加してもらうことは、お互いの協会にとって非常に良いいい機会になるのではないかと思っています。 その場で経験したことは何らかの形でフィードバックとなり、お互いに良いところを盗むことができるのではないでしょうか。
広島のスタディーツアーに厚木ユネスコ協会の方が参加した例や、カンボジアのスタディーツアーに杉並の子ども達が参加した例もあるので、将来的にはスタディーツアーに限らず、お互いのユネスコ協会を行き来できることがあればいいですね。人手不足の面でも一石二鳥じゃないですけど、課題を解消するきっかけや一つの策になると考えています。
(後記)
1951年に発足した杉並ユネスコ協会、70年以上に渡って平和のための活動を行なっています。ちなみに区とのパートナーシップは、設立当初の区長の教育への深い理解をもとに成り立ったそうです。
当時の想いが時を超えて今につながり、そして時代だけではなく国境まで超えて引き継がれている。それを繋げてきた人々の強い「想い」を垣間見た、今回のインタビューでした。