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オンラインキャリアイベント開催レポート「国際機関(ユネスコ)の扉をノックしよう 〜インターンと話そう!未来のキャリア〜」

◆ はじめに


皆さん、こんにちは。次世代ユネスコ国内委員会委員の吉田夏希(よしだなつき)です。大阪大学大学院医学系研究科博士課程に在籍しながら、今年の8月まで文部科学省のユネスコ研修プログラム1期生として、ユネスコ・パリ本部の人文・社会科学局スポーツ課で研修をしていました。

「国際機関で働く」と聞くと、多くの人はどこか遠い世界の話のように感じるかもしれません。私自身も数年前、同じことを思っていました。しかし実際にユネスコの研修に参加する中で、多様なバックグラウンドを持つ若者と出会い、国際機関が身近なキャリアの選択肢になり得ると感じるようになりました。今回のYouthnoteでは、7月29日(火)に次世代ユネスコ国内委員会が主催したオンラインキャリアイベントの様子をご報告するとともに、当日寄せられた質問のうち、時間の都合で回答できなかった一部についてお答えします。

 

◆ 企画のきっかけ


本イベントのアイデアは、パリのベンチでの会話から生まれました。研修を共にしていた仲間と、中高生時代には想像していなかった進路を歩んでいることや、ユネスコでの経験を次世代に還元したいことについて語り合ったのが始まりです。

国際協力や国連に関心があっても、それを具体的な進路として思い描ける若者は多くありません。特に地方の高校生や大学生にとって、ユネスコのような国際機関は身近に感じにくい「遠い世界」です。だからこそ、実際にインターンや研修を経験している若者たちの生の声を届けることで、「国際機関の扉を開く一歩」につながるのではないかと考えました。

 

◆ プログラム概要―ユネスコで働く若者の過去と現在と未来―


プログラム(司会進行:吉田夏希)

  • 19:00~ オープニング、ユネスコとは
  • 19:05~ インターン・研修生の自己紹介、経験シェア
  • 19:40~ Q&Aセッション
  • 19:55~ 参考になる情報の紹介、クロージング
  • 20:00~ インターン・研修生との交流(ブレイクアウトルーム)

登壇したインターン・研修生一覧

  • 佐藤啓明(自然科学局防災課、研修生)
  • 宇野耕平(本部教育局健康教育課、研修生)
  • Qiu Qing CHAN (人文・社会科学局IRD課、研修生)
  • 中村心寧(自然科学局生態地球科学部MAB事務局、研修生)
  • 野村紀帆(情報コミュニケーション局デジタルインクルージョン政策・DX課、研修生)
  • Alessandro HICKS(人文・社会科学局IRD課、インターン)

経験シェアの時間

登壇者たちは、それぞれがなぜ世界や国際機関に興味を持つようになったのか、いつからどのように進路を描いてきたか、ユネスコでどのような業務に携わっているのか、そして自身のキャリアビジョンをどのように考えているのかについてを語ってくれました。その歩みは多様で、進路の選択時に偶然の出会いが重なった人、途中で方向転換をした人、歴史好きから国際協力へ関心を広げていった人もいました。

興味深いことに、分野は異なっていても、登壇者たちに共通していたのは、まず挑戦してみる姿勢、自分のやりたいことや専門性をアピールしていく姿勢、そして人とのコミュニケーションを大切にする姿勢でした。

Q&Aセッションと研修生との交流

質疑応答では、次のような質問が寄せられました。

  • 第二・第三言語の学び方
  • 海外生活の現状
  • 年齢や資金面への不安 など

その後の交流では、登壇者ごとにブレイクアウトルームに分かれ、参加者が直接質問を投げかけたり、会話を楽しんだりしました。

 

◆ 参加者の声


イベント後のアンケートでは、多くの率直な感想が寄せられました。

  • 「ユネスコが多様な活動をしていることを知り、自分の興味のある分野があるかも知れないと思った」
  • 「日本人以外の方の話も視野が広がる素晴らしいものだった」
  • 「興味の不明瞭さが悩みだったが、まずは行動を大事にしたいと思えた」
  • 「海外インターンシップに挑戦してみたいと思った」
  • 「大学院進学か就活か考えていたが、国際機関で働くためには大学院を視野に入れて進みたいと決意することができた」

国際協力に関心があっても具体的なイメージを描けなかった若者が、自分のキャリアを前向きに考え始めたことは、このイベントの大きな成果だったと感じます。

 

◆ おわりに


本イベントにご参加くださった皆さん、そしてYouthnote読者の皆さん、国際機関への扉が少しでも開かれましたか?

ユネスコの活動は多岐にわたり、その影響は様々なところにまで広がっています。次世代ユネスコ国内委員会は、今後もユースのネットワークを強め、ユネスコウィーク(UNESCO WEEK 2025/26)やユースフォーラムなどのイベントを通して、全国の若者がつながる場を企画していきます。

改めて、本イベントに協力いただいた関係者の皆様、登壇者の皆様、そして参加者の皆様に感謝申し上げます。

 

◆ 参加者からの質問(一部抜粋)


Q.どのような専門領域で働くことができますか?また、分野ごとの予算や案件形成の過程について知りたいです。
A.ユネスコには教育、自然科学、人文・社会科学、文化、情報・コミュニケーションの5局があり、各局が他の部局と連携しながら事業を実施しています。例えば、国や地域レベルの政策支援、世界遺産や文化遺産の保護のあり方についての検討(人々に遺産の魅力や保護の意義を伝える方法など)、スポーツを通じてSDGsと平和の実現を目指すプログラムの展開など、幅広い活動があります。専門分野は限定されず、どんな領域もユネスコの活動に通ずるものがあると思いますので、ぜひユネスコ公式ウェブサイトの各局のページをご覧ください。また、ユネスコは国際公会計基準に基づき毎年決算報告書を作成し、拠出国に報告するとともに、ホームページ上でも公開しています。分野ごとに収支計算書の分析なども確認できます。

Q.ユネスコ本部は見学できますか?
A.一般公開イベントや有料ガイドツアーがあり、年間を通じて訪問可能です。

Q.居住地や日々の働き方、子育てと両立できそうかを伺いたいです。
A.パリ本部で働く人のほとんどはパリ市内や近郊で暮らしています。勤務時間は9時〜17時半、または9時半〜18時が基本で、リモート勤務も導入されています。子育てと両立する職員も多くいます。

Q.ユネスコのインターン・研修と国連ボランティアの違いは?
A.ユネスコのホームページでは空席公募の確認ができ、それぞれの募集要項には職務内容、勤務地、活動期間、必要とされる能力、応募資格などが詳細に記載されています。
また、本イベントの登壇者である日本人研修生は、ユニツイン/ユネスコ・チェアに認定されている大学からの推薦に基づき派遣された大学院生で、ユネスコ研修プログラムに参加しています。条件や制度の違いについては、以下のリンクより比較検討してみてください。

 

DATA
イベント名

国際機関(ユネスコ)の扉をノックしよう 〜インターンと話そう!未来のキャリア〜

日時

2025年7月29日(火)19:00~20:30

主催

次世代ユネスコ国内委員会

執筆

次世代ユネスコ国内委員会委員(2025年10月現在) 吉田夏希

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