次世代ユネスコ国内委員会 科学WGの本多うららです。
2025年9月27日〜28日にかけて、北海道・十勝岳で開催された「第15回 日本ジオパーク全国大会 十勝岳大会」に参加しました。
科学WGのメンバーとして参加し、ユースセッションのサポートからポスター発表まで幅広く、現地の高校生や全国のジオパーク関係者との交流を通じて、多くの学びを得ることができました。
十勝岳の麓で開催された今回の全国大会は、「地球の活動を知り、地域の未来を考える」ことをテーマに、全国から多くの参加者が集まりました。火山という生きた大地のもとで、自然の力と共に生きる人々の知恵や努力に触れながら、改めて“地球と共に生きる”ということの意味を考える機会となりました。
1日目:ユースセッションサポートとして美瑛へ
初日は「ユースセッション」のサポートとして参加しました。
このセッションでは、全国から集まった高校生がグループに分かれ、美瑛・上富良野・白金・十勝岳の4エリアでフィールドワークを行いました。各地域で設定された“ミッション”を通じて、地形や地域文化、防災、観光など多様な視点から地域を体感するプログラムです。
私は「美瑛エリア」のチームに同行し、電動自転車での地域探索に参加しました。

美瑛駅
秋晴れの澄んだ空の下、十勝岳の雄大な山並みを背景に、北海道ならではの「なだらかな」地形をもつ波うつ丘(波状丘陵)を進むサイクリングは、まさに北海道の大地を肌で感じるような体験でした。
十勝岳の噴火がもたらした火山灰や泥流は、厳しい災害である一方で、長い年月を経て肥沃な土壌を生み出し、現在の美瑛の風景や作物に命を与えています。自然の力がもつ“破壊と再生”のサイクルを、足元で感じながら進む時間はとても印象的でした。

美瑛の丘陵地帯でのサイクリング
■ 高校生たちの視点とエネルギー
今回のユースセッションには、北海道から鹿児島まで、全国各地から高校生が参加していました。 地元・美瑛の高校生を中心に協力してミッションに取り組み、移動の合間には各地域や学校での活動を話してくれました。
三愛の丘展望公園では、美瑛の地形がどのように形成され、どのように農業や観光に結びついているかを学びました。
ここでガイドを務めてくださったのは、十勝岳ジオパークの佐々木清美さんです(※広報掲載了承済み)。

三愛の丘展望公園
佐々木さんの説明はとてもわかりやすく、噴煙を上げ続ける十勝岳の力強さと、それと向き合って暮らす人々の知恵や農業を、風景とともに実感できる時間でした。
どこまでも続く丘の風景と、澄んだ空気に包まれながら走る時間は、まさに北海道ならではの体験でした。参加者同士で景色を見ながら話す時間も多く、自然と人とのつながりを感じられるようなひとときになりました。
■ 交流会 ― 北海道の恵みと人のつながり ―
夜は、地元の食材をふんだんに使った懇親会が行われました。
北海道ならではの新鮮な海鮮や富良野のメロンなど、豊かな食文化を味わいながら、全国のジオパーク関係者と交流を深めました。
この場では、各地域の活動紹介や課題共有が自然と生まれ、前向きな意見交換ができました。
科学WGとしても、委員会の枠を超えた新しいネットワークづくりを深める貴重な時間となりました。
2日目:十勝岳の魅力と出会い―伝える力・つながる力を感じた2日目
大会2日目は、いよいよポスター発表の日でした。 会場には朝から多くの来場者が集まり、全国のジオパーク関係者や研究者、そして小中高生や大学生まで幅広い世代が一堂に会していました。会場全体がエネルギーに満ちていて、どの発表も熱気に包まれていました。立ち見が出るほど盛況な会場も多く、ジオパークでの多様な取り組みを共有できました。
午前中は、出展ブースや物産展を巡る時間もありました。
あるブースでは、黒曜石を実際に手に取りながら専門の方に解説していただき、火山活動と地形の関係を実感できました。ほかにも、十勝岳の『火山への登山のしおり』が配られていたり、富良野の食材を使ったグルメが並んでいたりと、十勝岳大会ならではの地域の魅力がぎゅっと詰まった空間でした。どのお店も賑わい、あちこちで売り切れが続出するほど活気がありました。
■ ポスター発表で伝える次世代ユネスコ国内委員会 ~出会いと対話で深まる活動の意味~
そしていよいよ、ポスター発表。 「次世代ユネスコ国内委員会の紹介」をテーマに、ポスター発表を行いました。活動の概要やこれまでの取り組みを紹介しながら、来場されたジオパーク関係者の方々と直接お話しできる貴重な機会となりました。
印象的だったのは、発表を聞いてくださった方々との“対話”です。
「こういう活動があるんですね」「ユースフォーラムに参加してみたい」と興味を持ってくださる方も多く、話しているうちにお互いの活動アイデアがどんどん膨らんでいきました。中には、「自分の地域でもユースの活動を始めたい」と話してくださる方もいて、全国でこうした輪が少しずつ広がっていることを実感しました。
また、同世代のユース発表もとても刺激的でした。
地域の課題に真正面から向き合い、自分たちの視点で発信している姿は頼もしく思えました。ジオパークという枠を超えて、「地域の未来をどうつくるか」という共通のテーマが会場全体に流れていたように思います。
今回の発表を通して感じたのは、「伝えること」と「つながること」の大切さです。
ポスター一枚をきっかけに、知らなかった人が関心を持ち、そこから新しい交流が生まれる。その積み重ねが、次の活動へとつながっていく。そんな手応えを得られた一日でした。
大会で出会った多くの方々とのご縁を大切にしながら、これからもジオパークやユネスコ活動を通じて、“人と地域、そして地球とのつながり”を深めていけたらと思います。
まとめ ~十勝岳での日本ジオパーク全国大会を通して~
今回の全国大会に参加して、一番感じたのは「ジオパークは、人と人をつなぐ場所でもある」ということでした。実際に現地で活動している人たちは、地域の未来を考えながら、観光や教育、防災などさまざまな分野を横断して関わっていました。そんな姿に触れることで、自分の中でも活動を未来につなげることの重要性を改めて感じられました。
また、ジオパークで働くユース世代との交流もあり、大きな刺激になりました。同世代の人たちがそれぞれの地域で頑張っている姿を見て、自分ももっと成長し、より多くの人にジオパークの魅力を発信していきたいと素直に思いました。
全体を通して、本当に充実した2日間でした。準備の段階では大変なことも多かったですが、現地での経験を通して“ジオパークの本当の意味”を肌で感じられた気がします。ここでの経験と繋がりを、今後の学びやユネスコ活動にもつなげていきたいと思います。
DATA
| イベント名 | |
|---|---|
| 開催日時 | 2025年9月27日〜9月28日 |
| 会場 | 美瑛町スポーツセンター ( 北海道上川郡美瑛町丸山1丁目1−9) ほか |
| 執筆 | 次世代ユネスコ国内委員会委員(2025年10月現在)本多うらら |