皆さんは、「ESD」という言葉を知っていますか?ESDとは、持続可能な開発のための教育を目指すものです。多くの大学に設置されているユネスコクラブでは、ESDを実践するための活動がおこなわれています。

今回は、大学生のみのメンバーで構成されながらもESDの普及に注力する奈良教育大学ユネスコクラブの代表である佐藤こころさんに、活動内容や組織の特色についてお話を伺いました。

Q:奈良教育大学ユネスコクラブでは、普段どのような活動をされているのでしょうか?

佐藤さん:「ESDを実践できる」「ESDを楽しく追及する」という2つの目的をもとに、4つの活動をおこなっています。

1つ目はESDやSDGsに関する勉強会です。ESD・SDGs実践勉強会とユネスタディの2種類に分けることができます。ESD・SDGs実践勉強会は年5回程度実施しており、フィールドワークや講演会を実施しています。今年は人と防災未来センターにご協力いただきながら、阪神淡路大震災を取り上げた防災のワークショップを企画しました。残念ながら、コロナ禍でフィールドワークができなかったものの、被災経験のある方の講演を取り入れるなど、有意義なイベントづくりができたかと思います。2つ目のユネスタディはSDGsのゴールを1つ取り上げ、それに関する勉強を学生同士でおこなうものです。こちらも最近はオンラインで実施しています。

2つ目は他大学、他団体との交流です。毎年、玉川大学さんと交流しており、コロナ禍以前はキャンプ等のフィールドワークも開催していました。昨年はオンラインで活動の共有をおこない、お互いの活動についてヒントを得たり刺激を与えたりすることができたと思います。また、全国サミットというイベントでは他大学と課題に取り組むのですが、毎回視野が広がり、学びの多いイベントです。昨年はSDGsのゴールについての教材開発をおこないました。今年は「つながる」をテーマに、東大寺をはじめとする奈良の町を舞台に、持続可能性について学ぶ機会にしていきたいです。

3つ目は、小学校等での野外活動支援、「集まれ!ESD子ども広場」(以下、子ども広場)というイベントの実施です。特に、子ども広場では、小学生向けにトリックアートや風刺画を用いて多角的・総合的に考える力を付けることができるような活動をしています。例年は、小学生が大学に遊びに来るのですが、今年はコロナ禍の関係で出前授業だったため新鮮でした。

4つ目は災害復興支援ボランティアです。現在はコロナ禍で活動がなかなかできないため、現在新たな支援方法を模索中です。

そのほか、毎週水曜日に昼食会を開き、活動の振り返りや今後のイベント情報の共有をおこなっています。

Q:多様な活動をされているのですね。奈良教育大学ユネスコクラブの特色はどんなものがありますか?

佐藤さん:学生主体で企画・運営していることが特徴です。

メンバーの誰かが「これやりたい!」と提案したら、発案者を中心に学生主体で作り上げる環境があります。先生など、大人の方にご協力、アドバイスをいただくこともありますが、自分たちで取り組めることが強みだと感じています。

また、ESDを押し出しているのも珍しいことかもしれません。奈良教育大学ユネスコクラブでは、「SDGsを教える」のではなく「ESDによってSDGsのために必要な価値観を養う」ということを大切にしています。例えば、クリティカルシンキングやシステムドシンキング等、持続可能な教育のために育てたい資質能力を重視し、それを育めるようなコンテンツを学生や高校生以下の世代に提供できるように努めています。

Q:ありがとうございます。コロナ禍でいろいろと大変な思いをされていると思いますが、今後はどのように活動していきたいですか?

佐藤さん:まだまだ難しいとは思いますが、対面の活動を増やしたいです。

オンラインでの活動が増えた中で、人と人とが同じ空間で向き合って対話することの大切さを実感しました。相手がどんな思いを抱えているのか、オンラインでは伝わりにくいということもあり、対面でのコミュニケーションは貴重なものだったのだと学んだのです。そのため、人と人がリアルに対話できる機会を作っていきたいと考えています。

Q最後に、ユース世代をユネスコ活動に呼び込むためのアドバイスをお願いします!

佐藤さん:「親近感」を持ってもらうことが非常に重要です。

ユネスコ、SDGs、ESDなどの言葉に、ユース世代は「お堅い」イメージを持つと思います。私も最初は全く親近感が湧きませんでしたし、漠然とボランティアか何かかなという印象しかありませんでした。しかし、実際に説明を聞く中で、私たちの身近に活動があふれていることがわかり、お堅いイメージも払しょくされました。

社会貢献や社会課題解決に興味を持つユース世代は増えているのでチャンスはたくさんあると思います。自分たちの活動のポジティブな部分を洗い出し、楽しさや身近さを伝えることが重要なのではないでしょうか。

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