文部科学省委託「ユネスコ未来共創プラットフォーム事業(海外展開を行う草の根のユネスコ活動)」の一環として、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)が2022年度より手掛ける「インクルーシブな地域コミュニティの推進事業」では、学校、政府、民間企業、市民社会等の多様なステークホルダーの協働を通じてどのようにインクルーシブなコミュニティを実現・推進することが出来るか、国内外の事例研究と学び合いを重ねてきました。3年間の本事業は、2025年3月をもって終了となります。今回、本事業の3年間の成果として発行いたしましたリソースパックについてご紹介いたします。(前回の報告はこちらから)
最終年度である今年度(2024年度)は、3年間の活動の総括として、「インクルーシブな地域コミュニティ作り」の理解を体験的にかつ実践的に深める教材「リソースパック」を作成してまいりました。
成果品:「A Resource Pack for Promoting Inclusive Community」(インクルーシブコミュニティ推進のためのリソースパック)
第一章では、本プロジェクトの実施に至る背景や事業の軌跡について簡単にまとめております。
第二章では、実践者向けのワークショップ教材としてロールプレイを掲載しています。それぞれのプロジェクトからの経験をもとに、インクルーシブなコミュニティづくりに携わる際に生じうる課題や困難について、体験的に学び取っていただくべく、ロールプレイの手法を使ったワークショップの紹介をしています。関係者間で実施して相互理解を深め、インクルーシブなコミュニティづくりに最も必要な「協働」の理解を深めるために使っていただいたり、学生やこれからプロジェクトに携わる方々に向けて実施することで、今後インクルーシブなコミュニティづくりのプロジェクトを実施際に直面するであろう課題を体験し、多角的で多様な視野を持って実務に臨めるように準備する機会として活用いただくなど、様々な方と利用いただけるように作成をしています。
第三章は、実践事例として3つの団体のプロジェクトを紹介しています。それぞれのプロジェクトにおいて、どの様なカウンタパートが参加していて、どの様な活動がこれまでなされてきたのか。またその成果と課題についても言及をしています。類似事業の参考にして頂くことで、今後様々な地域で行われるであろうインクルーシブなコミュニティづくりの促進の一助になってくれることを願い、執筆いただいております。
ぜひ、活用してください。
ダウンロードはこちらから(画像をクリックしてください)
アドバイザー兼、編集をご担当頂いたインドの元教育行政官Dr Anupam Ahujaからのメッセージ
教育におけるラベルや用語は時代と共に変化してきました。例えば、「特別支援教育」は「インクルージョン」へとシフトしてゆきました。しかし、真に包摂的で多様性を尊重する実践を、今後一層発展させる必要があります。私たちは、地域レベルでの取組を引き続き支援し、拡大させるとともに、さまざまな地域や文脈を超えた協力関係を築いていかなければなりません。
このプロジェクトは、各地域の課題や力強い取組、協力の様子を紹介する称賛に値する試みでした。
日本、カンボジア、フィリピンにおける事例はそれぞれ異なる特徴を持ちますが、どれも「インクルージョン」が障害や特定のアイデンティティ要素にとどまらないプロセスであることを示しています。これらの事例は、地域ごとの多様な国家的課題と、それに対してどのように具体的かつ地域に根ざした方法でインクルージョンが進められているのかを記しています。
今後、このリソースパックの利用者を通じてこの取組がさらに拡大し、協働と対話が加速し、それがコミュニティや地域、国を超えて発展していくことを楽しみにしています。
DATA
執筆 | 福尾(ユネスコ未来共創プラットフォーム事務局) |
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