アイキャッチ画像

海の日に学び考える、わたしたちの現在と未来の海

ユネスコ・アジア文化センターは、2026年7月20日「海の日」に、海洋保全教育プロジェクト(Sustaining Our Oceans※プロジェクト)の一環として、「つなげよう、未来の海へ― Sustaining Our Oceans 海の日イベント2026」を開催しました。

当日は、海洋保全や海の生物多様性に関心のある中学生・高校生・教職員のみなさまにご参加いただき、海洋ごみ問題や環境保全といった身近で重要なテーマについて、楽しく学びながら自分たちにできるアクションを考えました。

映画「マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る 2050年」から学ぶ!

午前中は、ユネスコ・アジア文化センター(以下、ACCU)による開会挨拶とイベント趣旨説明のあと、映画「マイクロプラスチック・ストーリー ぼくらが作る 2050年」の上映を行いました。

同映画は、ニューヨーク・ブルックリンの小学生たちが、プラスチック汚染や気候変動の問題を学び、自分たちの学校や地域から行動を起こしていく姿を追ったドキュメンタリー映画です。

小学生たちの行動に心を打たれるとともに、自分自身の日頃の行動を振り返り、「自分たちにできることはなにか?」を考える機会にもなりました。

ACCUによるイベント趣旨説明

座談会を通して生まれた対話

映画上映に続き、岩本泰さん(東海大学 教養学部 人間環境学科 教授)をモデレーターに、有本奈緒美さん(Plumeria Nail 代表)、浦野奈美さん(FabCafe Kyoto)、駿河総合高等学校の生徒さんを登壇者にお迎えし、「みんなで考え、行動する未来へ」をテーマに座談会の場をもちました。

登壇者の紹介です。

ネイリストであり海洋環境の活動をされている有本さんは、海洋プラスチックを実際に海に拾いにいくところからはじめ、それらを全て洗浄・乾燥し、アップサイクルする活動をされています。

浦野さんは京都の「FabCafe Kyoto」に所属されています。「FabCafe Kyoto」では、イベントしたり、ワークショップをしたり、色々な人々が新しいことを企んだり、チャレンジをする企画をしています。

駿河総合高等学校(ユネスコスクール加盟校)の生徒さんは「釣りが大好きな高校生」と自己紹介をしていただきました。釣りを通して海洋環境への関心を深め、様々な活動に挑戦しています。

座談会の様子

座談会のなかでは、モデレーター岩本さんから「(行動するにあたり)一人で何かを訴えかけることでは、なかなかインパクトが少ないので、仲間を見つけたくない?」という問いかけも。駿河総合高等学校の生徒さんからは「(現在取り組んでいる)活動は一人でしているので、もっと仲間をたくさん見つけて一緒に行動していきたい。」と応答がありました。インターネット上でのグローバルなつながりの構築の可能性についても考えました。

座談会のキーワードの一つとなったのが「倫理」です。浦野さんからは、「倫理」に関しては、答えが一つに定まっているものではないというお話をしていただきました。そのうえで「議論できる場所を作っていきたい」という思いが語られました。モデレーターの岩本さんからは国連の「サステナブル・ファッション・アライアンス」という取組をご紹介いただきました。何かサステナブルなものを身に着けることは、サステナビリティに関する意見を持っているということを表現する活動の一つなのではないかという岩本さんからの言葉に対し、有本さんからは「身に着けることによって意識ができる」という、ご自身のネイリスト・海洋環境の活動を通じた思いをお話しいただきました。

座談会の最後には、フロアの生徒さんからも、自分で調べた情報をさまざまな人に発信していくことの大切さに関する感想が述べられました。このようなネットワークがひろがっていく可能性を感じる時間となりました。

午後はワークショップを実施

午後は、2つの会場にわかれてワークショップを実施しました。

両方の会場で共通して体験していただいたのが、UNESCOが開発したAR・VR教材です。

AR・VR教材を体験

自分のアイディアをだしたり、意見を交わしながら一人ひとりが「今」できることを一緒に探すワークショップとなりました。

ワークショップ① 3710Lab セッション

本ワークショップは、一般社団法人3710Lab(みなとラボ)が企画・運営を担当し、「AR・VRだからできる海との関わり」をテーマに実施しました。

参加者はまず、AR/VR技術を用いた「DIVING LIBRARY」や「生き物コレクション」などのデジタルコンテンツを体験しました。VR空間で海の中の多様な生き物を探したり、普段は足を踏み入れることができない深海の世界に触れたりすることで、言葉や写真だけでは届かない海洋環境の魅力や課題を、直感的な臨場感とともに体感しました。

体験後はグループに分かれ、模造紙とペンを手に「AR・VRだからできる海との関わり」や「VR・ARがあっても実際の海に行く理由」という2つの問いについてブレインストーミングやグループワークを行いました。「現地に行かなくても海の『今』を知ることができる」「普段見られない場所の課題やごみの状況を可視化できる」など、デジタルならではの視点から気づきを整理していきました。その上で、「楽しみながら問題を知る」「安全かつ鮮明に海中が見える」「興味が深まる・関心が高まる」といったテクノロジーの特性を生かし、いかに人々の関心を引きつけ行動につなげていくかについて、自由で柔軟なアイデアを出し合い対話を深めました。

最後にはワールドカフェ形式で各グループのアイデアを共有し、全体の振り返りを行いました。デジタル体験と対話を掛け合わせることで、海洋保全への新しいアプローチや自分たちと海との関わり方を再発見する充実した時間となりました。

ワークショップ② 東海大学付属 相模高等学校中等部・高輪台高等学校 セッション

本ワークショップは、ACCUが運営し、中高生約20名を対象に、「東海大学付属相模/高輪台流 海洋保全アクションプランを作ろう!」をテーマとして実施しました。

はじめに、ACCU職員が「Sustaining Our Oceans」プロジェクトの概要を説明するとともに、マングローブ林やサンゴ礁など、地域の自然環境を題材とした探究学習やフィールドワークの海外事例を紹介しました。続いて、UNESCOが開発したAR教材「DIVING LIBRARY」を体験し、マングローブ林やサンゴ礁、深海の生態系について理解を深めました。

その後、「未来の海を守るために、自分たちにできること」をテーマにグループワークを行い、海洋環境を守るためのアクションプランを検討しました。学校でのプラスチックごみの分別や海岸の清掃活動、地球温暖化対策など、身近な課題から地球規模の課題まで、幅広い視点からアイデアが出され、それぞれの学校で実践できる具体的なアクションプランが考案されました。

参加した生徒さんからは、「話し合いをする中で、海の問題は遠い場所で起きていることではなく、私たちの毎日の生活ともつながっているのだと気づいた」「自分にできる行動を少しずつ増やしていきたい」といった感想が寄せられました。こうした声からも、海洋環境の課題を自分事として捉え、身近な行動につなげていこうとする意識の芽生えがうかがえました。

東海大学付属 相模高等学校中等部・高輪台高等学校 セッションの様子

おわりに

今回のイベントを通じて感じたことは、どのようなアクションができるのかを、「みんなで考え、みんなで実践していく」ことの可能性です。ACCUでは、SOOプロジェクトを通じて、そのような機会をみなさんと創出できるよう、引き続き取り組んでまいります。

※Sustaining Our Oceans…株式会社ファーストリテイリングからの寄付金を受けて2024年から実施しているプロジェクト。
本プロジェクトについては、こちらをご覧ください。

DATA
イベント名

つなげよう、未来の海へ― Sustaining Our Oceans 海の日イベント

日程

2026年7月20日(月・海の日)

場所

国際研究交流大学村 東京国際交流館、オンライン(午前のプログラムのみ)

執筆

ユネスコ・アジア文化センター 教育協力部

イベント情報

こちら(ユネスコ・アジア文化センターHP)

記事をシェアする