第3回ユネスコウィーク(UNESCO WEEK 2024/25) ユースフォーラムは、次世代ユネスコ国内委員会が主導し、2024年12月1日(日)に対面(会場:国立オリンピック記念青少年総合センター)及びオンラインのハイブリッドにて開催されました。ユースフォーラムは毎年、次世代ユネスコ国内委員会が、全国のユースのつながりを広げる場として、そして1年の活動の集大成の場として企画しています。

今回のテーマは「『今から、ここから、わたしから』―ユースが集い、創るユネスコ活動の未来―」。プログラムを通して、ユースの活動の「今」と「未来」、そして自分なりの方法でユネスコ活動に取り組む方法を考えるイベントとなりました。

昨年度に続き2回目となる今回は、多くのユースによる参加があり、非常にパワフルで活気に満ちたフォーラムとなりました。冒頭の「趣旨説明」では、次世代ユネスコ国内委員会 小林委員長より「縦のつながり」と「横のつながり」を作っていくことの難しさが問題提起され、「本イベントを通して様々なつながりを作ろう」という企画者側の気概が伝わるオープニングになったと思います。

 

続いてのプログラムでは、ユネスコ親善大使である、映画監督の河瀨直美さんからいただいたビデオメッセージが披露されました。

特に心に残ったメッセージが二つあります。一つは、ユースにしか表現できないものがあり、それを大人とぶつけ合い、形にしていくことで、世代を超えて共存・共生していこうというメッセージです。二つ目は、仲間がそれぞれの道で羽ばたいていくことは決して別れではなく、いつかまた協力し合えるという確信が自分の軸になっていくのだ、というメッセージです。これはユースの入れ替わりをマイナスなこととしてとらえていた自分の意識を転換してくれるメッセージでした。

河瀨監督のしなやかで力強いメッセージを受け取った参加者からは、「やるぞ!」という熱い意気込みが伝わってきました。

河瀨直美監督によるビデオメッセージは後日配信動画(こちら、YouTubeにリンク)よりご覧ください!


続いて、一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花さんをモデレーターとしてお迎えし、「ユースによるユネスコ活動のこれから」というテーマで、ユースと先輩世代によるパネルディスカッションが行われました。パネリストは金沢大学准教授のママードゥア・アイーダさん、世界ジオパークネットワーク・ユースフォーラム日本代表の永野蛍さんで、私も次世代ユネスコ国内委員会を代表してパネルに加わりました。

ディスカッションはユースが今困っていることに対して、先輩世代が答えるような形で進んでいきました。「高校生や大学生として地元の活動に従事していた人が、活動から離れていってしまう。」「入れ替わりが激しいユースが、どのように活動をつぎにつないでいけるか。」といったユースの悩みに対して、「実体験に根差した、自分のライフスタイルに組み込まれた活動が日本にはまだ足りない。どういういう生き方を大事にしていて、そのためにどういう活動をするのか。ジオパークやエコパークといった現場の方はどういったライフスタイルで、どういった課題意識を持っているのか。そういうリアルな体験をして、活動につなげていくことが継続性の鍵だ。」というお話をしていただきました。

「たくさん協力して、是非一緒に活動していきましょう。」
「ユースとしてアイデア、パワー、思い、たくさんあります。それを実現したい。今日集まっているユースのみんな、是非やり遂げよう。先輩世代の皆さん是非私たちの声を聞いてください。」
ユースと先輩世代が互いにメッセージを送りあい、パネルディスカッションは幕を閉じました。

今年のユースフォーラムのポイントのひとつは、「ネットワーキング」でした。お昼の休憩時間には、全国のユース団体がポスター展示を行い、参加者と意見交換を行いました。

      1. 【団体名一覧】
  1. 青山学院大学ユネスコサークル Le Lien(ルリアン)     
  2. 岡山県ユネスコスクール高等学校ネットワーク 学生スタッフ
  3. 環境自治体会議環境政策研究所  
  4. 国際学生会議所
  5. 玉川大学ユネスコクラブ
  6. 長岡技術科学大学 SDGsプロモーター 
  7. 名古屋経済大学市邨高等学校
  8. 奈良教育大学ユネスコクラブ
  9. 日本体育大学柏高等学校
  10. 立命館守山高校 ユネスコクラブ
  11. iEARN@SIPEC
  12. VOLTofNUTS

午後は3つの分科会に分かれてのプログラムが組まれまれました。

分科会A【教育】「みんなでつくる『これからの学び』のカタチ ―ユネスコの勧告を手がかりに―」
分科会B【防災】「ユネスコの視点で防災を学び、実践する ―未来に活きる防災―」
分科会C【まちづくり】「共に考える『我がまち』の未来 ―ユネスコ創造都市ネットワークを事例に―」

今回の分科会は、次世代ユネスコ国内委員会内で組織されているそれぞれのワーキンググループ(教育・科学・文化)が他のユース団体と協力して創り上げたものであり、それまで積み上げてきたつながりが活かされた場でもありました。多くのユース団体とつながり、ユースの大きなうねりを作っていくハブとして、次世代ユネスコ国内委員会の活動の幅を今後も広げていきたいと感じます。

分科会の後は、全体会としてユースのその後のキャリアにフォーカスした内容のワークショップ「My UNESCO Story Map ―これまでのユネスコ活動を振り返り、継続・発展させるためのヒントを得よう!―」が実施されました。

対象者はユースに限定され、今回のユースフォーラムに参加してくれたユースの皆さんが、My UNESCO Story Mapというワークシート(プログラム6~7ページに掲載)にそって、自分のこれまでの活動を振り返りました。「活動を始めるきっかけは何だったのか」「何が大変だったのか」「何が良かったのか」-じっくり今までの活動を振り返ることで、原点を再確認することができるというものです。私自身は、教育に興味を持ち始めた中学生時代を振り返り、自分の軌跡をたどることでユネスコでの活動をしていく自分軸を見つめ直すことができました。

その後、民間企業や地方自治体にご勤務されながら、本業またはプロボノなど、さまざまな形で社会貢献活動に従事される5名の社会人の方に、学生時代の活動と現在のご職業までのキャリア形成についてご紹介いただきました。続いて、登壇者と参加者との対話の時間が設けられました。このセッションはグループに分かれ行われ、登壇者にはいくつかのグループを回っていただきました。「今の活動がどう職業につながるのか」「将来の仕事の方向性をどう見つけたらいいか」といったユースからの投げかけに、登壇者には様々な経験を交え応答していただきました。

対話セッションの後は、ユースを内側に・先輩世代を外側に配置した大きな一つの円を作り、「トークフォークダンス」を行いました。向かい合った人同士でペアを作り、ペアを交代しながら、「新しく挑戦してみたいこと」「今日のユースフォーラムを受けての決意」といった様々なテーマについて話し合いました。終始和やかな雰囲気の中、世代を超えた交流ができた時間でした。


 

各分科会にご登壇いただいた方々の
~ユースフォーラムに登壇してみての感想とユースへのメッセージ~

分科会 A【教育】
永田 佳之 氏(聖心女子大学教授 / 日本国際理解教育学会会長)
ユースフォーラムは希望に満ちた時間でした。国連が近年ユース重視策を前面に出す一方で、日本は前途多難であると言われてきました。そんな中、フォーラムでは持続可能な未来に向けた若者主導の胎動のようなものを感じました。マルチステークホルダーの中のワン・オブ・ゼムではなく、リーダーとしての更なる活躍に期待をしています!

分科会 B【防災】
柿崎 喜宏 氏(室戸ジオパーク地質専門員)
今回、はじめてユースフォーラムに参加しました。フォーラムに参加しているユースは、それぞれの分野で高い意識を持っているな、という印象を受けました。一方、ユースが社会人となる過程で、つながりが失われてしまう点が問題だとも聞きました。そこで、ユースの皆さんにはぜひジオパークのネットワークに参加してほしい。さまざまな人とつながれるジオパークは、きっとユースのネットワークにも貢献するでしょう。

分科会 C【まちづくり】
鈴木 彩子 氏(山形国際ドキュメンタリー映画祭)
このたびは、ドキュ山(山形国際ドキュメンタリー映画祭)ユースに分科会登壇のお声がけいただきありがとうございました。ユース世代の先輩方の前でプレゼンテーションをするという体験は、今回参加した高校生2人にとって有意義で学び多き経験になったと思います。また、ドキュ山ユースの活動の幅が広がる良い機会になりました。今回、私たちとユースフォーラムをつないでくれたドキュ山ユース卒業生の長澤パティさん(次世代ユネスコ国内委員会)をはじめ、多くの山形県出身メンバーが次世代ユネスコ国内委員会で活躍されていることを知り、とても頼もしく感じています。この活動が長く続いていくよう、みなさまのご活躍を山形より応援しています。


 

ユースの縦と横のつながりを強化したいというメッセージから始まったユースフォーラム。それが様々な立場のユース、ユネスコ活動関係者、企業までを巻き込んで、これまでの活動を振り返り、「今」ともに考え、そして「未来」を検討する、というフォーラムになったと思います。全国には、様々な活動に取り組むユース、様々な知見を持つNPOやNGO、多くの先輩世代がおり、すでにたくさんの積極的な活動がなされています。それらをつなげ、協働していける場を創る、そして活動を広げていく―今後もそのことを次世代ユネスコ国内委員会の使命とし、その使命に向かって活動していこうと改めて感じる機会でした。このYouthnoteの読者の皆さんも、私たち次世代ユネスコ国内委員会とこれからも一緒にチャレンジしていきましょう。

改めて、ユースフォーラム開催にあたりご協力くださった関係者の皆様、分科会をともに創り上げてくれた全国のユースのメンバー、ユースフォーラムにご登壇くださった方々、そして当日参加くださった皆様に、御礼申し上げます。

DATA
イベント名

第3回ユネスコウィーク(UNESCO WEEK 2024/25) ユースフォーラム
『今から、ここから、わたしから』―ユースが集い、創るユネスコ活動の未来―

日時

2024年12月1日(日)

場所

国立オリンピック記念青少年総合センター

執筆

次世代ユネスコ国内委員会 委員(2024年12月現在)東和佳奈

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