Sustaining Our Oceans(SOO)(私たちの海を支える)プロジェクトで生まれた学びと行動
天満 実嘉(ユネスコ・アジア文化センター)
毎年、6月8日は世界海洋デー(World Oceans Day)1。海と人とのつながりや、海が人の暮らしにもたらす恩恵、海洋環境の重要性に思いをはせる日です。2026年6月8日、ユネスコバンコク事務所が主催する「World Oceans Day Celebration」がタイの首都バンコクにて開催され、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)から職員2名が参加しました。このイベントは、ユネスコが取り組む「Sustaining Our Oceans(SOO)」(私たちの海を支える)プロジェクト2の一環として実施されました。このレポートでは、当日の様子や、その翌日に開催されたプロジェクトに関する地域ワークショップの様子をご報告します。
World Oceans Day Celebration
このイベントは世界海洋デーを記念し、海洋保全に関する理解を深め、若者をインスパイアすることを目的として開催されました。会場は、バンコク市内の繁華街サイアム地区に位置するショッピングセンターSiam paragon内にあるNEXTOPIA。「より良い世界づくりに参加しよう」をコンセプトに、サステイナビリティーを毎日の暮らしに取り組むことを提案し、アップサイクルで作られた商品や環境に配慮した商品を取り扱うショップや飲食店が集まる施設です。

本イベントにぴったりの会場で、Soohyun Kim氏(ユネスコバンコク事務所)、シェルバ英子氏(株式会社ユニクロ)、Ukkrit Satapoomin氏(タイ環境省)、Phichet Phophakdae氏(タイ教育省)のオープニング挨拶でイベントは開始しました。各氏は、SOOを通じて、若い世代をエンパワーメントすることや、ハンズオンで学び、知識を得るだけではなく行動することの重要性等を語り、イベントに参加する若者たちへメッセージを届けました。
続いて、SOOに参加するタイ各地の小学校から高校までの児童・生徒、ベトナムからは高校生が直接会場で登壇し、各校・地域で取り組んでいるごみ拾い・ごみ削減キャンペーンや、生きものの調査等の活動を発表しました。日本からもユネスコスクール加盟校である高槻高等学校(大阪府)の生徒が制作した映像が放映され、同校の生徒達が取り組むサンゴ礁保護に関する研究やアップサイクルの取組、未来の海や国を超えた協力に対する思いが共有されました。
イベントはパネルディスカッションで締めくくられました。Somneuk Sunprasit氏(Media Center for Development Foundation)をモデレーターに、シェルバ英子氏(株式会社ユニクロ)、Note Panayanggool氏(海洋保全のインフルエンサー)、Poomtham Ungklieng氏(高校生)の3名が登壇し、それぞれが、なぜ海洋保全の活動に取り組んでいるのか、経験や思いを共有し、会場に集まった参加者からも登壇者への質問が飛び交いました。「何もしなかったら30年後どうなりますか?」、「何故このような取組を行うのですが?何がインスピレーションですか?」、「活動を行うにあたって大切なことは何ですか?」といった率直な疑問が投げかけられ、各登壇者は、「何もしなかった悪くなる一方だ」、「問題をこの目で見てしまったから、何もしないわけにはいかない。責任がある。」、「楽しく活動できることが大切。つらいことは続かない。」等それぞれの思いに基づき力強く回答しました。
暮らしている国はそれぞれ異なっていても、私たちは同じ海を共有しています。国を超えて各地が同じ課題に直面していること、その一方で、美しい海を守りたいという同じ思いも共有していること、そのためのアクションは既にはじまっていることを実感しました。本イベントを通じて、一人ひとりの責任ある行動や選択が、世界を良い方向に導いていくのだと感じさせてくれました。

会場の様子
Sustaining Our Oceans Project – Regional Workshop
翌日、2026年6月9日には、SOO地域ワークショップが開催され、日本の他、タイ、インドネシア、ベトナムからプロジェクト関係者が集いました。
ワークショップの冒頭、チュラロンコン大学(タイ)のDr Suchana Chavanichによる基調講演が行われ、同氏の研究者としてのサンゴ礁保護活動の経験から、研究者や教師が「サイエンス・コミュニケーター」や「ロールモデル」となって、研究室や教室に留まらず、実際に見て、触れて、行動する体験を創出することで若者や地域をエンパワーメントし、海洋保護を加速させることへの提案がなされました。
その後、プロジェクト参加国であるタイ、ベトナム、インド、日本(ACCU)からプロジェクトを通じて開発された教材や学校・地域での試行的な実践、今後の展望が順に紹介されました。各プロジェクトサイトの環境や現状に則した内容でありながら、AR/VRや、ボードゲーム形式で楽しんで学べるような工夫が凝らされた教材が各国で完成していました。また、それぞれのカリキュラムや教育制度の事情に適応しながら、教科内で活用したり、課外活動で活用したりと、柔軟性のある活用が可能であることも共有されました。
午後は、トレインステーション形式で、プロジェクトサイトごとに4つのステーション:ワカトビBiosphere Reserve(以下 MAB)(インドネシア)、カンビオ・マングローブMAB(ベトナム)、クーラオチャム・ホイアンMAB(ベトナム)、ラノーンMAB(タイ)の4つのステーションに分かれて、各地の学校の先生やMABの担当者から各プロジェクトサイトでの教材を使った試行的実践が共有され、参加者は、付箋を使って良い点や改善点、今後の展望を話し合いました。

トレインステーション形式で意見を出し合いました
最後に、2024年11月に開催された糸魚川ユネスコ世界ジオパークでのスタディービジットの振り返りが行われ、当時、訪問をホストした鳥越寛子氏(糸魚川ジオパーク協議会 アドバイザー)と、活動や成果が改めて共有されました。当時のスタディービジットの参加者からは、帰国してから糸魚川で学んだ清掃活動やアップサイクルの活動を教育活動に活用していること、糸魚川の町の方々にとっては、海外からの訪問を受け入れることで世界の一員としての実感を育むことができたことなど改めて振り返りました。
プロジェクトを通して各地で多様な教材が開発され、またそれらを活用した海洋保全に関する学びやアクションが行われていました。ACCUとして、それらを持ち寄った今回の学び合いに参加する貴重な経験を得ることができました。この機会をもとに、今後も多様なひとたちを巻き込んだ「対話」と「学び合い」の機会の創出を通して、海洋保全に貢献できるよう、引き続き取り組んでまいります。

SOOプロジェクトで開発されたインドネシアの教材Wakatobiku(My Wakatobi)
1 World Oceans Day: https://www.unesco.org/en/days/oceans
2 「Sustaining Our Oceans」(私たちの海を支える)プロジェクトについては、2025年8月27日公開「UNESCOレポート」やACCU のウェブサイトにて紹介しています。
DATA
| イベント名 | ①World Oceans Day Celebration |
|---|---|
| 開催日 | ①2026年6月8日(月) ②2026年6月9日(火) |
| 会場 | ①タイ、バンコク、Siam paragon内NEXTOPIA ②タイ、バンコク、Novotel Bangkok Siam Square |